スーパー残暑が続く日本列島だが、今年の山形の暑さも半端じゃない。そんななか、「冷やしシャンプー」が全国区の人気となっている。「シャンプー=お湯」。そんな常識を覆す発想は、実は山形市の、とある理容室から産声を上げた。
40?8度。これは平成19年に岐阜県多治見市で40?9度が記録されるまで、74年間も山形が保持していた気温の日本最高記録だ。地勢的に盆地であることが要因とされるが、昼夜の寒暖の差は「フルーツ王国」という“おいしさ”ももたらしている。
山形はとにかく冷やす。山形市内の「栄屋本店」が元祖とされる「冷やしラーメン」は有名だが、ご飯に水をかけるだけの「水ご飯」も県民にはおなじみ。そして、冷やしシャンプーも全国区に躍り出ている。
「夏場に『暑い?』と入ってきたお客さんに、首にタオル、体にはエプロン、顔に蒸しタオル、頭にお湯、ドライヤー…。まさに拷問ですよ」
タレントの石塚英彦さん似の大沼幸市さん(43)は、そう笑う。この笑顔の人が「冷やしシャンプー」の考案者だ。
本人を含めて3代続く理容一家に生まれ、山形市内の高校を卒業後、東京の理容専門学校へ。羽田の理容室を含めると計9年間修行し、実家の理髪店とは別の場所で独立した。
「実家は祖父から続く職人かたぎの理髪店。本当は継がなければいけなかったんですが、おやじが理解してくれたんです」
その理解が「冷やし」を産む。15年前のことだ。
「ある暑い日に常連さんが、暑いと言って入ってきまして、たまたま冷蔵庫で冷やしていたメントール系のシャンプーを使ったところ、『これいいね』という話になったんです」
実はヒントは東京?羽田にあった。大沼さんが「おやじ」と慕う師匠が何気なく使っていたのを思い出した。「昔は冷蔵庫で保管することは一般的だったようですが、ブランド化まではならなかったようです」。メントール系のシャンプーを冷蔵庫に入れたり、氷で冷やしたりして使うという発想は単純だが、ネーミングで爆発的なヒットに結びつけることは難しい。いわば、「コロンブスの卵」だ。
店前に「冷やし中華あります」ではなく、「冷やしシャンプーあります」と掲示したところ、近所の人の目に留まり話題に。珍しさからテレビのバラエティー番組にも取り上げられた。仲間たちと協議会を立ち上げ、今では山形県内だけで300軒、全国では27都府県の理容室が「冷やしシャンプー」ののぼりを掲げる。
「冷やし」は経営的にも副産物をもたらした。美容はカリスマブーム、カットは千円カットで売り上げを伸ばすが、「理容室は1回来ると、1カ月以上そのお客さんは来ない。冷やしシャンプーだったら、何度でも来てもらえます」。合コン前の男女や重要な会議を控えたサラリーマン、頭をスッキリさせたい受験生など客層にも幅ができた。
頭部にかかわることなので、協議会では医師も交えて安全性を担保している。「氷をそのまま頭に乗せればなんていう人もいますが、絶対にしないでほしい。われわれプロでも細心の注意を払っています」
手弁当で他県にも足を伸ばし、「冷やし」を広める大沼さんや仲間たち。脚本家の小山薫堂さんから「おくりびと」ならぬ「ひやしびと」と名付けた彼らの“冷やしの旅”は続く。
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引用元:宮崎市歯科の総合情報サイト
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